NPO法人PEACE ON相澤(高瀬)香緒里による日誌的記録(~2007年まで)


by peaceonkaori
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法務委員会を傍聴する

9日、朝。慣れない時間帯に起床して慣れないラッシュ電車に乗って、永田町へと向かう。
どうしても、共謀罪が気になって気になって仕方なかった。どうしても、共謀罪という法案が、どういう経緯でどういう道筋を辿ってどういう末路に行き着くのかを、この目でしっかりと見届けたかった。
ワラにもすがる思いというより勢い勝負の体当たりで、議員に紹介していただき、傍聴する機会を与えられた。

幾つかの手続きを経て、法務委員会のお部屋へ辿り着く。
傍聴は15人が定員で、今日は希望者が多いため、途中で入れ替えられるという。15人とは少な過ぎると思いつつ、それだけ人びとの関心が高い証であり、その事実が与党への圧力になることを願った。
今日は、参考人の意見陳述と質疑がおこなわれた。

この法案に賛成派の藤本哲也さん(刑事法学者)は、「グローバルスタンダードだから」と繰りかえし強調され、「日本のこれまでの法体系からすれば例外的だが、世界標準に合わせることがなによりも重要」とおっしゃった。「(いわゆる)先進国やその他の約110か国ですでに締結している条約に早く日本も追いつくために、国内整備である共謀罪を通さなければ、国際的威信にかかわる」のだそうだ。
驚いたのは、質疑の時間にかれが、「法に多少のあいまいさが残るのはやむを得ない」だとか、「警察など取り締まり機関の善意を信じるしかない」とおっしゃったこと。これは、犯罪者となりえるわたしら一般市民は疑い国家権力は信じる、という居直ったメッセージであり、法の概念を根底から否定するあきれるに値する科白だったので、静かにしてなければならない傍聴席で思わず鼻笑いをもらしてしまった。議員の皆さんも、さすがに笑ってらした。与党側も、とんでもない御用学者を用意したものだ。

高橋均さん(連合事務局長)は、「一般には適用しないというが、一般とか普通とかいうのは誰が決めることなのか。捜査当局の恣意的判断ではないか」と警告された。また、過去に労組の人間が実際に逮捕された例を挙げ、「労組の常識では考えられない」と反対なさった。そのうえで、「対象となる団体や犯罪を、厳格に規定してほしい」とおっしゃった。

櫻井よしこさん(評論家)は、個人条約保護法や住基ネットを例に出し、「法を作る時には考えもしなかったことが、導入後にどんどん拡大解釈され、混乱に陥る日本の現況は、官僚のなれあいの体質の名残であり、この場にいる誰も責任がもてない」と言い放たれた。言葉だけで成立してしまうこの法が、こころの問題に踏み込む可能性や思想統制につながる危険性を警告、歯止めの必要性を訴えられた。
また、日本のこれまでの大きな犯罪としてオウム事件と北朝鮮問題を挙げ、これらをなぜ防げなかったのかと、これらの事件は、「法律がなかったからではなく、警察側のやる気がなかった」わけで、「こんな状況で新しい法律だけを論じるのではなく、官僚や一般市民などがどのように考えるのかが大切だ」と、しかも国民のほとんどがまだ分かっていない状況であると、根本から考えてらした。

e0058439_382235.jpg委員会が終わって外に出ると、共謀罪に反対するグループの座り込みと集会がおこなわれていた。
一緒になってシュプレヒコールをあげていると、マイクを握ったかたが、向かい側でうろついている公安の8名めがけて、「君らこそ道路を占領している」「みんな、写真を撮ろう!」などとシュプレヒコールを挙げられたので、ワクワクしてしまったのだが、所用のためわたしは退散。面白かったー、エヘ。

その後、議員秘書さんのご好意で国会議事堂を見学させてもらったり、議員食堂で昼食をとったりした。
国会議事堂というのは、朝鮮から持ってきて強制労働の末にできあがった建物だ。とても居心地の悪い思いがした。
本会議では、容器リサイクル法について会議されていた。酔いしれたスピーチ、反対側からの汚いヤジ、読書と携帯電話、平行線の答弁…先ほどの委員会でもげんなりしたが、やはりここでも気ぶんが悪くなった。

ここでかれらが日本の将来をつくっている、そうさせているのは我ら選挙民。信じたくはなかったけれど、これが現実。持病の症状が一気におしよせて来た。ぐったりと疲れ果てたわたしは、やっとの思いで帰宅すると、6時間にも及ぶ長い長い昼寝をしてしまった。

翌10日。今日は、与党修正案と民主党修正案にたいする質疑がおこなわれた。

法律用語など専門用語が飛び交い、書き物をボソボソと読む聞きづらい官僚の声などで、傍聴していても分からないことが多くあった。

が、「一定の犯罪を実行することを主たる目的とする団体」ってあるんだろうか? いわゆるテロ組織だって暴力団だって、主たる目的で違法なことはしない。それが明文化されようとされまいと、わたしら一般市民が対象になることはじゅうぶんにありえる。だって、誰がそれを判断するって、公権力でしょう。辺野古のおじぃおばぁの座り込みだって、妨害するのが目的の団体と先方がみなせば、そうなんでしょう。「共同の目的を有する多数人の継続的な結合体」なんだから。
しかも、619もの犯罪に適用されるこの共謀罪は、ひろく解釈されることは目に見えている。限定するなんて長々と議論されてはいても、現在でも労組やデモやビラ撒きで不当に逮捕されているこの日本、共謀罪が新設されれば文句なしに乱用は可能。法務大臣の杉浦正健さんは、「犯罪集団から国民を守る法律」なんぞおっしゃっているが、「犯罪集団」とはなんなのか、なぜ一般市民や政府は対象ではないといえるのか? 時の権力者によって解釈が変わるのではないか? 今日の委員会では「謙抑的に」という言葉がよく発せられていたが、わたし達の不安はとうてい払拭されるものではない。
今日の委員会では、619という数が問題視され、「諸外国でもそうなのか」との問いに外務省は「口頭だけの確認だけしかしていず、わからない」というお粗末な回答。これにはさすがの法務委員長の石原伸晃さんも、「つめたい」と一言。すみやかに文書で確認をとることとなった。2日間で初めて発せられた、指名以外の法務委員長の言葉だった。

昨日から一緒に傍聴しているご婦人がいる。いてもたってもいられずに高槻から泊まりこみで上京なさったそうだ。60年代には、東京でばりばりご活躍なさっていたそうで、わたしは驚き敬意を表するのだけれど、ご婦人はご婦人で、「あなたみたいなこんな若いこが闘ってるなんて勇気をもらえるわ」と云ってくださる。東京以外の地域ではやはりなかなか、反対の声が聞かれにくいという。

今日の国会前は、教育基本法改定に反対するかたがたが、座り込みをなさっていた。ざっと300人はいらっしゃっただろうか。
そのご婦人が活動してらっしゃった頃には10万人で国会を囲んだそうだ。わたし達の年代はまだまだなにも、できちゃいない。まだまだ、まだまだ。

わたしが共謀罪に反対して、集会に行ったり議員やメディアに抗議や激励のメールやファクスを送ったり連日のように傍聴までするのは、PEACE ONとして反対の賛同を出したからというのは名目で、生命こそかかっていないものの、一種の個人的な「人間の盾」だと考えている。
なかなか帰洛しない理由を京都の友人の友人に伝えると、かのじょは「わたしになにかできることは?」と問いかけてきた。なにもわかっていないかのじょはわたしの本気度を読みとって、「国会にファクスするの?」なんて必死にいじらしく尋ねてくる。そうやって関心のあるひとをどんどんと増やすことだって、わたしの行為の1つの目的でもある。
1人でも多くの一般市民が国政に直接はたらきかける、その1つのコマのようになって、わたしは振る舞おうと思う。もしこれが、何万人にもふくれあがれば、今でもびびっている与党側が態度を変えるのは必至だろう。
12日にも強行採決という噂も聞かれる。ちいさなちいさなわたしの力、せやかてヘコタレヘンえ!


~「共謀罪」の強行採決に反対する! 超党派国会議員と市民の緊急院内集会~
◆緊急院内集会◆
5月12日(金)17:30~ 衆院第2議員会館第1会議室
◆緊急集会◆
5月17日(水)18:30~ 星陵会館
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by peaceonkaori | 2006-05-11 03:08 | 国内活動