NPO法人PEACE ON相澤(高瀬)香緒里による日誌的記録(~2007年まで)


by peaceonkaori
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ヨルダンのイラク

2月25日昼、シルワンにマターム・イラーキー(イラク食堂)に招待されて、日本人の一行で連れ立つ。シルワンはお鮨(と日本酒)を食べたかったそうなのだが、うちらはアラブ料理を選ぶに決まっているやないか。

e0058439_19592961.jpg雨が激しく降っていた。わたしはアラブでの雨が初体験だったので最初のうちははしゃいでいたのだけれど、こう冷たい雨ではかなわない。シルワンも雨は嫌いと云っていた。シルワン・バランの「バラン」は雨の意なのに。

e0058439_20029.jpgクージーをはじめ、トルシャーナ(杏のおかず)、テブシー、バーミヤン、デザートにはズヌーダルシット(女性の二の腕のような形のお菓子)まで、どれもタイーブ・ジッダン(ちょう美味しい)、最高だった。

食事中、シルワンが急にすごく恐い形相をしてかたまった。ぴくりとも動かない。おそるおそる尋ねてみると、なんとマハディ軍の連中がお店に入ってきたのだと云う。かれらはシルワンの周りのひとを含めたくさんのひとを殺しているらしい。直接的な憎しみを抱えつつ、シルワンはなんとかその場を遣り過ごしたのだった。ここヨルダンにもマハディが侵入してきているんだ。在ヨルダンのイラク人は今や100万人を超えているというから、それも当たり前なのか。イラク地図のネックレスを日々身につけているわたしは、ぞっとした。イラク食堂は、イラクの縮図のよう。ほかのイラク食堂でも、シーア派のTV番組かスンニ派のそれかでチャンネル争いなどがあるとも聞いた。うっかりすると、ヨルダンでもたいへんなことが起こりうる。

e0058439_2005079.jpgその後、シルワンのお宅に連れて行ってもらう。
個展前の準備で散らかっていたが、かれの新作を観ることができた。それらは、すこし政治的になっていた。女性が描かれ、滲ませたアラビア語で傀儡政権を揶揄している。「毎日のように悪いニュースが右耳から左耳から入ってきて、それを表現せざるを得なかった」と、シルワン。いつもはおどけふざけているかれももちろんイラーキー、祖国への想いは相当なものなのだ。前回の日本での展覧会のかれのテーマは「恐怖と逃亡」だった。「じゃあその後はどうなるの?」と聞いたわたしに、「分からない」と答えたシルワン。次はこうなのか。

シルワンがわたしに、『恋するアラブ人』で著者の師岡カリーマ・エルサムニーさんが絶賛していたイラク人シンガー、カーズィム・アッサーヒルのCD(コピーじゃなくオリジナル)をプレゼントしてくれた。かれのカリスマ性はアラブ諸国を駆け巡り、昨年末に殺されたあのイラク大統領サッダーム・フセインも唯一かれに世界中どこへでも訪問できるパスポートを与えたという。カーズィムの話を持ち出すと、アラブの人びとは皆ほめたたえる。やったね、ゾル・スパース(どうもありがとう)。

ハニは仕事後に毎日、ダルブナー・ギャラリーに顔を出してくれる。有難い。
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by peaceonkaori | 2007-03-02 20:00 | 中東にて