NPO法人PEACE ON相澤(高瀬)香緒里による日誌的記録(~2007年まで)


by peaceonkaori
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2006年 11月 24日 ( 1 )

遅蒔きながら、イラーキー滞在記のつづき。

10月3日、京都へと向かうため、新幹線に乗り込む。
曇り空で富士山は臨めなかったが、イラーキーの2人と高い山の競争をして愉しむ。なんと、イラク北部のクルディスタンには3600メートルほどの山があるという。たしかに山岳地帯だったけど、富士山の3776メートルに及ぶ勢いの山があろうとは。イラク、奥深し。

ハニと2人、日本の現状についての話をする。格差社会、すさんだ都会人、ありとあらゆる犯罪、マイホームに35年の借金、1日100人もの自殺者…かれはたとえば窃盗の件数を1年で100件と答えたけれど、とんでもない。とかく日本に憧れるイラーキー、でもハニは2度目の来日で少しずつ現実が見えてきたようだ。日本に失望して危険なイラクに帰ったひとを、わたしは知っている。
ハニは云う、「バグダードでは真っ昼間の街でひとが殺される。そういうのをこども達に見てほしくはなかった。だからヨルダン移住を決意したんだ。ものすごいストレスとこころの荒廃が、僕らにはある」と。

京の都とバグダードを繋げられたら…生まれ故郷の京都での企画は、わたしの夢だった。
今回の企画は不可能なように思われた。シリアで何度も電話のカードを切らしながら、会員の瀬戸さんとやるかやらないかの決断を悩んだ。無理をお願いして実際に動いてくださった会員の水野さんはじめ実行委員会の尽力がなければ、とてもじゃないけど実現できなかった。ほんとうに感謝の一言に尽きる。
ぎりぎりの企画、集まる人数は気にせずのんびりゆっくりやりましょう。

鴨川沿いの教会は穏やかで、晴天にもめぐまれ、2人ははしゃいでいた。
チャペルに2人の数点の絵画を展示し、お茶やお菓子(ラマダーンの時に食すものだそう)も用意していただいた。わたしが売り子のアラブ民芸雑貨も、「もうちょっとこうやったほうがええやん」と皆さんがあんじょうやってくれはるし、お客さんも「いやあ、これきれいでよろしいねえ」とほんまにええもんを分かってくれはる。やっぱり京都やなあ、ほっとするわ。疲労で発熱していたわたしのほうが、京のこころに癒される(来てくれた友人に「そんな気力だけで動いてんと休みやす」と叱られる、エヘ)。
現代アラブ文学者でありフェミニズム思想家の岡真理さんが、京都大学の講義をこのイベントに切り替えて来てくださった。どうりで学生が多いと思った。うれしいね。

e0058439_1641428.jpgまずはシルワンとハニの講演。イラクのこころの拠りどころとしてのなつめやしのこと、戦争という日常のこと、身に及んだ危険のこと、そして歴史の指紋のようなうつくしさとか芸術とかのこと。戦争で破壊されたものを直すのはそれなりにできる、けれど戦争で破壊されたこころは何世代もかけないと治せない。そのなかで芸術にはなにができるのか?

e0058439_1642597.jpgつづいておこなった相澤恭行のイラク報告の後は、鴨川べりに移動して、みんなで夜のピクニック。お茶を飲んだりお菓子をつまんだりして、バグダード人と京都人の交流。シルワンは絵の道具をとり出してなにやら描き始めた。悪寒のするわたしにシルワンがジャケットを貸してくれる。みんなニコニコ。やっぱりイベントをして正解だった。とっても素敵な夕べ。シュクラン・ジャジーラン(おーきにありがとう)。夜は更けていった。わたしは熱に浮かされぼわーんとしながら、ハピネスを身体でかんじていた。きっと、シルワンもハニも。
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by peaceonkaori | 2006-11-24 16:42 | イラク人来日プロジェクト