NPO法人PEACE ON相澤(高瀬)香緒里による日誌的記録(~2007年まで)


by peaceonkaori
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サッちゃん

e0058439_2595330.jpg前夜、一睡もできなかった。かのニュースの行方も気にはなっていたのだけれど、これは例のストレスからくるものだと思った。寝つきをよくするお薬はいつものように飲んでいたけど、もっとつよいものを服用すればよかった。朝の6時にはあきらめて起きあがり、あたたかいお茶を淹れてもらった。

イラク大統領が亡くなった。サッダーム・フセインは、首を絞めて殺された。
「わたしのいないイラクなど無意味だ」と最期に述べたという。犠牲祭初日の早朝の、あまりに凛然とした…。

わたしは神に祈ったはずだ。あなたのお導きで、かの国をこれ以上の混乱に陥れないでくださいと。
その翌日、仕事のミーティングの合い間にふと見たインターネットのニュースで、つい1時間ばかし前にかのひとは殉教したと知った。わたしはどうしたらいいのか分からなくなって、とにかく号泣が終わらなかった。肩に、そっと手がおかれた。悲しみを分かちあう手であった。しばらくニュースを追った。だけど、あたまははたらいていなかった。
わたしは再度、祈祷した。今度は怒りの祈り。なんてことをなさったのですかと、あなたはわたしの祈りを聞きいれてはくださらなかったのですねと。1人の人間の死によって、今後より多くの死が待ちかまえているように思える。イエスの十字架を想起した。
ゆうべの眠れなさは、なにか予感してのことだったのだろうか。それは考え過ぎであろうか。とにかくわたしは眼前の仕事をやるしかないのだと、つよく思った。でも、かのひとのいないかの国にどういった希望を抱くわたしがいるのか、愚問があたまを支配した。

脅迫状を受けエジプトに避難しているかの国の友と、チャットする。イスラーム教徒にとってとってもハッピーなはずの犠牲祭の初日に、イスラーム教徒はみんな悲しんでいる、と。我われを翻弄させた傀儡政府のメンバーを残らず憎んでやる、とかれは怒りをあらわにしていた。そしてかれは、サッダームのために祈りに行った。

恥ずかしながらじつは、あっと驚く映画のような出来事だって想像していた。最近はバース党の動きが気になるところだし、いっそ脱獄でもできやしないか、なんて。そのほうが侵略国にとっても好都合だとも考えられた。それを理由に、傀儡政府の首相を更迭できるうえに治安安定化のために兵士増派だってできるのだ。脱獄の劇をイメージしてはわくわくしているわたしが、あった。でも、そんなミラクルは起こらなかった。かのひとは、あっさりと首に縄をかけられた。

まず、不公平があった。戦争捕虜としてつかまえられたという不可解さ。それを自国の傀儡政権が裁くという不条理さ。
そして、不公正があった。占領国や傀儡政権は、幾度となく裁判に口をはさんだ。弁護士が殺されもした。これが民主主義ってやつなら、わたしは民主主義を信じない。
失笑さえもあった。良し悪しは別として(ええ、別としてですよ)、国家反逆罪でひっとらえる国のリーダーなんて、ほかにも多くいるじゃないか。それを罪とするとして、傀儡政権はその罪を徹底的に暴くより口を閉じさせる方法を選んだわけだ。
なによりも、わたしは死刑に反対する。断固反対する。死刑は国家権力による殺人である。かのひとが死刑執行人に「おまえ達はテロリストだ」とつぶやいたとされる噂が事実なら、それはそのとおりだ。

サッダーム。
わたしはかれを、サッちゃんと呼んでいた。「ボロ・ビデム・ニブディークヤ・サッダーム」の叫びを冗談まじりに唱えては、よく怒られたりしていたものだ。この歌は、もう歌えない。サッちゃんは旅立ったのだから。

サッダーム。
わたしをサダミストと揶揄するひとがいるなら、それはそれでかまわない。今よりもサッちゃん時代のほうがまだましだったというかの国の民衆の声を、わたしはたくさん聞いてきた。かれは大犯罪者。そう、いったいどれだけの国民がかれによって痛い目に遭っただろうか。だけれども、ただの大犯罪者だったのか? 国連が認めた経済制裁で150万人ものかの国の人びとを死においやっておいて、国際社会はなにをぬかす。かれは魂を裏切らなかった、ちょっとできの悪い大将だったのだ。

今晩はつよいお薬を飲んで、もう寝ることにしよう。サッちゃんと一度、お喋りしたかった。でももう叶わない。サッちゃんは、永久に葬り去られたのだから。

*画像は、ハビビによるイラスト。
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by peaceonkaori | 2006-12-31 03:01
じつはまだ完結していなかったイラーキー滞在記、2006年のうちになんとか書きあげよう。2月も前のことになって、すみません。

10月8日、さようならの朝は早い。ゆうべは遅くまで起きていたから皆ぐったりとしていたが、それでも帰り支度をきびきびとこなす。
体調をこじらせても飛行場まで見送ろうとするわたしに、ハニシルワンも気を遣って「かおりはここ事務所でいい」と云う。「なんで? わたしとアンタ達は兄妹やんか」との言葉に、2人はおれた。

e0058439_18412382.jpg成田空港では、すんなりとチェックインも済まし、最後のティータイム。すこし寂しいけれど、まだ冗談ばっかり言ってるこのひと達。でもね、何度もお礼を述べられると、ほんとうに涙が出てきそうになるんよ。握手とキス。
いよいよ2人は、チケットをもぎられボディチェックを受けて、壁の向こうへ。大きく大きく手を振った。マッサラーマは笑顔でね。

e0058439_18413696.jpg2人が見えなくなると途端にわたしは、荷物用のカートに倒れこんでYATCHに運ばれる。ほかのお客はギョッとしたり見ないふりをしていたけれど、そんなのおかまいなし。10日間の記憶の渦が.......
この日から3日3晩、わたしは寝たきりとなった。

いつも歌うか踊るか描くかしていた2人。すっかり筆ペンが気に入って、色紙の裏にも菓子箱のなかにもその辺の紙袋にも絵や漢字を描きなぐっていたシルワン。シルワンより1つ年下なのに、ハニはまるで父親のように面倒をみていた。中和ギャラリーやオーナーへの感謝の歌を作っては歌いまくっていた2人。「ふるさと」の歌をがんばって覚えようとしていたシルワン。それを替え歌にして大笑いのハニ。「スーラ(写真)」と云ってはわたしに何100枚も撮らせようとするハニ。シルワンは座禅を組もうとして、おどけてオナラの出る真似をする。おんなのこなら誰でもガールフレンドにしたがるシルワンと、それを羨ましがる既婚者のハニ。わたし達の分からないアラビア語でなにか冗談めいたことを言っては笑い合っていた2人。わたしのイラク訛りの「ムー(でしょ)?」が面白いらしく、2人でいっつも真似していたよね。ハニが小銭があまりわたし達にジュースをおごってくれるというので、疲れ切っていたわたしらは「パワー!パワー!」と栄養ドリンクを求めたっけ。
みんなみーんな、たいせつな思い出。

数日後、ぶじに戻ったかとヨルダンのハニに電話をかけてみる。シルワンもハニもマーシー(だいじょうぶ)ですって。なら、連絡よこせよ。
ハニは、「かおり、カートに乗っていただろう。知ってんだぞ」とにやにや。「えー、なんで?」と不思議がるわたし。ばいばいした後も、硝子の壁でお見通しだったみたい。ンもう、ほんまに意地悪なんやからー。でも、ぶじでなにより。

今回の招聘企画では、賛同金が思うように集まらず、大赤字となってしまった。PEACE ON運営にとって、大打撃となるだろう(もうなってる)。しかし、ひととひととを繋ぐ芸術をとおしてのイラク支援への貢献、これはわたし達にとって大きな収穫となったはずだ。
今後も、イラクほかアラブの文化を日本に紹介しつづけるし、日本の文化もアラブに発信してゆく。わたし達は友となって、ずっとずっと繋がりつづけるんだ。お互いに、スドゥク(誠実)のこころでもって。 アルハムドゥリッラー(神のおかげで)!
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by peaceonkaori | 2006-12-30 18:41 | イラク人来日プロジェクト

アラブの風

23日の明治大学でのイベントをもって今年の代表相澤の講演予定もすべて終了し、表向きの仕事は終わった。当日の内容はともかくとして、わたしにとってとびっきりのすっごいことがあったんであった!

e0058439_0481732.jpg会場の外でいつものように、イラクやシリアなどアラブ諸国の民芸雑貨をひろげて物販にいそしんでいたわたし。そこへメインゲストの亡命イラク人アブドゥル・リカービさんらが到着した。かれらは「へえ」といった感じでクフィーヤなんかを見ていたのだけど、さすがにサッダーム札(サッダーム政権下で実際につかわれていた紙幣)を見て苦笑いをしていた。
そこへ1人、若い男性が流暢な日本語で「えー、こんなのまで売っているんですか? わたしたくさん持っていますよ」とおっしゃる。こんな端正なアラビ見たことないーとハッと息を呑むような、品のある顔立ち、立ち振る舞い。でも、アレ、どこかで…と思い、「ハル・アンタ・イラーキー(あなたはイラク人ですか)?」と訊いてみる。「いいえ、エジプトです」ですって。まさか、まさか、まさか、「あのっ、モーメンさんですよね? ファ、ファ、ファンなんです!」と汗染みの感嘆符を放って、必死でつたえてみる。そう、かれは、NHK教育テレビの「アラビア語会話」講師のアルモーメン・アブドーラさんだったのだ。「お若いので分かりませんでした」と云いつつ、アラビア語でご挨拶のやり直し。いつもTVで見てアラビア語を学習していたので、そこんところはタマーム(ばっちし)。イラクのアンミーア(方言)でなく、フスハー(正則アラビア語)でできたよ。それにしても素敵過ぎる、ウットリ。

これは一大事と、さっそく開始直前で控えている相澤のもとへかけ寄り、「モーメンさんや、モーメンさんやで~」とあたふた報告する。最初はぽかんとしていた相澤もしだいに理解し、俄然モチベーションが上がったみたい。やりまっせ、モーメンさん。
物販の係のためイベントの内容をすべて聞けなかったのだけど、相澤のスピーチをその隣でモーメンさんがリカービさんにこそっと訳されている姿を見ただけで、もう大興奮。相澤の言葉をモーメンさんが訳してはるッ、それだけでこのイベントは垂涎モノでした、ほんっと。

終了後には、相澤もわたしもモーメンさんにPEACE ONの活動を紹介するので競争。イラクの現代アートのプロジェクト<LAN TO IRAQ>には、たいへんに興味を示してくださった。
そして、わたしはアラビア語の個人授業。「タッシャラフナー(どうぞよろしく)」というフレーズ1つとっても難しい。日本人はどうしても頭を下げてしまうけれど、たぶん向こうではアッラー(神)にしか頭は下げないからね。それに、男性と女性なんだからもうちょっと離れておこなうとか、男女の握手は軽めにとか(もっと近づいてぎゅっとしたかったのよー、ってミーハー過ぎ?)。ちなみに、ちゅっぱちゅっぱのキスは、男女ではほとんどやらないんだそうだ。ふーん、わたしはハニ・デラ・アリとやっていたけれど。そんなこんなで、わたしの「タッシャラフナー」はほぼ完璧になった。

東京へ越してきて2年とすこし。これでわたしの出逢えた憧れのひとは2人目(ちなみに1人目は、今春のシティボーイズ公演で見た倉本美津留さん)。
わたしはぼわーんと恍惚の瞳で、モーメンさんを見送った。

そして今日は、ご降誕おめでとう、の日。
イヴの昨日は、ご褒美の時として夕刻までお布団で過ごし、それからチョコレートやおりんごとともにシャンメリーで乾杯して、M-1グランプリを観賞。昔からのファンの芸人さんが大勢ご出場で、どぎまぎする。クリスマスのカードなどいただき、有難い。
今日は、イラクの友らにカードを送信したり、脅迫状を受けてエジプトに避難しているイラクの友とチャットを交わしたり、夜にはクリスマス用のチキンやケーキが安売りされていやしないかと商店街に漁りに繰りだすもヨミが外れて、けっきょくペルシャ料理屋さんのzakuroで食べきれないコース。チキンも羊もひよこもいただく。偶然いらっしゃった隣席のシリア大使館のかたと知り合う。前はアラビア語の教室をなさっていたというお友達の女性にも、発音などほめていただき光栄。それにしても、シリアのおこさんがほんまに可愛い。

エジプトといいシリアといい皆、恰好よいなあ。それに比べてイラクはまじもっさい。特におっさん、もっさ過ぎる。これが、イラク支援&交流をしていてつくづくかんじること。アラブの街を歩いていても、分かるもの。
そんなこんなを話しながら相澤とそろそろお店を出ようとすると、さっきまで遊んでいたシリアと日本のこどもが「おじちゃん帰るのー」「おじいちゃん帰るのー」ですって。アハハ、もう代表はお兄さんという年齢ではありませんな。相澤はシリア製のクフィーヤ(絶賛販売中!)を翻しながら、たいへんに口惜しがっていた。代表、サンタおじいちゃんとなって、事務局のわたしになにを贈ってくれるのかしら(←催促)。
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by peaceonkaori | 2006-12-26 00:49
イラーキー滞在記はまたも休み。今回は、PEACE ON LEARNINGのおしらせです。今回のテーマは、国会。ニュースではなかなか見えづらい国会の実態を今一度、学習しましょう。


○● 転送転載歓迎 ●○

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第4回PEACE ON LEARNING
「国会のカラクリを暴く!-関組長の国会ロビー活動報告-」

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共謀罪新設、教育基本法改定、防衛庁の「省」格上げ、国民投票法案、はたまたイラク特措法やテロ特措法まで、実のところ法案ってどうやって作られてゆくの? いったい国会ってどうなっているの? 今後、海外派兵恒久法案はどういう方向をたどるの?
わたし達の生活に密着しているはずなのに、なんとなく難しいイメージを抱いてしまう法案そして国会。そのカラクリをみなさまとの対話を通して、毎日のように永田町にはりついているNGOロビイスト関組長が暴きます。当日は、どんなちいさな質問でも持ってきてください。わたし達にできること、考えてみませんか?
みなさまのご参加をお待ちしています。

*当日は、現在の国会情勢を漫画とコラムで分かりやすく解説した『これから戦争なんてないよね?』を税抜き価格の700円で販売いたします! 事務局長かおりんこと高瀬香緒里が漫画になって登場、代表YATCHこと相澤恭行もコラムを書いています。お見逃しなく!

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日時:12月9日(土)14:00~16:30(開場13:30)
場所:汐見交流館 洋室B(東京都文京区千駄木3-2-6/03-3827-8149)
→東京メトロ千代田線、千駄木駅から徒歩3分。1番出口を左、団子坂下交差点を左折して団子坂を上り、最初の信号を右折すぐ右手。
講師:関義友さん(ロビイスト・PEACE ON会員)
参加費:500円
主催:NPO法人PEACE ON
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○● 転送転載ここまで ●○


□────────── PEACE ON LEARNINGとは? ──────────□
毎回テーマを設定して各界の識者をお招きし、会員中心の参加者による、小規模で濃密な学習会をもてればと企画中。
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by peaceonkaori | 2006-12-07 23:17 | おしらせ