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NPO法人PEACE ON相澤(高瀬)香緒里による日誌的記録(~2007年まで)


by peaceonkaori
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続・アンマン爆破事件のこと

前回11月12日付け記事の末尾に、「今とても、きんちょうしている」と記した。その自分内のきんちょうは、日に日に高まっている感がある。

事件を聞いてすぐ、アンマンに住んでいたりアンマンにいそうな友人に、「だいじょうぶなの?」とメールした。だいたいのひとからは返信があった。
もちろん罪のないひとが殺されるのは悲しい犯罪だけれども、イラクではそれは毎日毎日それこそ何10件と起きている。イラク人は、今回のアンマンでの事件のような危機に日常的にさらされている。アンマンの件だけが連日のように大きくとりあげられるのは、ひらたくいってフェアじゃない。だから、たとえばサマワにいるイラク人からは、アンマンの事件についての話題もそこそこにサマワの状況を書いてきたし、ほかのイラク人からは、以下のように云われた。

ヨルダン人については、僕はマジにはしんぱいしていないよ。なぜって、僕がタクシーに乗ったりヨルダン人たちと会ったりする時にいつだってかれらは「イラクでムジャヒディンはアッラーのもとでよくやってるよ」なんて話すから、僕は罪のない人びとでなくアメリカ人を殺すムジャヘッド(ムジャヒディンの単数形)について言って、そしていつもいつもかれらヨルダン人は「戦争なんてもんはすべて犠牲がつきものだ」って話すんだ。そう、だったら僕は今、この犠牲(アンマンでの連続爆破事件)をテストせよと思っている。信じてくれ、かれらヨルダン人はイラク人たちを人間でなく犬のように扱う、ってことを。国境では、悪い言葉で僕らを罵り、寒かろうが暑かろうが12時間も待たせやがる。でも僕はイラク人たちしかケアしない、というのもかれらはもっと悪く扱われるだろうから。ヨルダンに住むイラク人に訊いてみるといいよ、「ヨルダン人は君や君の家族をどんな風に扱うの?」ってね。

アンマンに2週間ほど滞在していた時、街で会話を交わしたヨルダン人らに「イラクをサポートしているのよ」とPEACE ONの活動を話してみると、たいていは「いいことしているね、イラクはひどいからね」とは云われるのだが、それ以上の興味を示すひととそうでないひととがいた。
全員に興味を抱いてもらえるとは思わないけれども、器のちいさいわたしはこころのどこかで「隣の国やろ、なんでそんなんやの」と思ってしまったこともあった。無論わたしはわたしなりに、地道に活動をつづけてゆくのみなのだが。

爆発物は天井に仕掛けられていたという話もある。そもそも当局は、あの短時間でどのようにして犯人をイラク人だと断定したのか? 自爆未遂犯として告白しているあの女性は何者なのか? わたしにはわからないことだらけ。

アンマンに住む大すきなイラク人の友人が、爆破事件の直後に職を解雇された(※11月21日訂正:正式には解雇ではなく、配慮であったと、本人から訂正依頼がありました。不法就労とも呼べるイラク人が多いため、国にチェックされないよう会社側が数日のお休みを与えてくれたそうです)。ヨルダンに移住したイラク避難民は50万人とも100万人ともいわれるが、かれらへの締め付けが今後ますますひどくなっていくことは間違いないと思う。昨日は1日その事実で悶々として、事務所で招聘準備などの仕事に追われつつ唸り声ばかりあげてしまっていた。
今週末にはいよいよ画家のハニさんが来日する。ヴィザはとうに取得しているのに、この期に及んでまだ日本側からのインヴィテーションが要るという。無事に飛行機で時間どおりに到着できるのかしら。イラク人であるというだけの理由でおこなわれる無駄で厭らしい検査で、ハニさんが不快な思いをしませんように、どうか。
by peaceonkaori | 2005-11-15 10:20